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体験談

1999年度交換留学生:前川 唯さん 兵庫県長田高校出身(イリノイ州)

前川 唯さん

◆10ヶ月の交換留学を終えて◆

私は小学5年生の時、父の仕事の関係で1年間アメリカのピッツバーグに滞在しました。それ以来、私はアメリカという国や英語に興味を持つようになりました。そして中学3年生の時、偶然にも日本青少年育成協会主催の交換留学プログラムを知り、「これだ!」と飛びつきました。私がこのプログラムへの参加を決めたのは、アメリカについてもっと知りたい、英語を上達させたいという思いがあったからです。

そして昨年7月下旬、希望に胸を膨らませ日本を出発しました。アメリカで目にした光景は5年前のそれとは大きく違っていました。以前家族と一緒に滞在したピッツバーグには工場がたくさんあり、家のすぐそばにはスーパーやお店がありました。しかし今回留学先に決まった場所は、見渡す限りとうもろこし畑の農業地帯。買い物をするには車で2時間の町まで行かなければなりませんでした。初めてアメリカに滞在した時には家族と一緒でしたから、これといって困ることもありませんでした。しかし今回は日本の家族からも離れ、生まれて初めて自分一人、異国での生活を送ることになり、日本では得られなかっただろう多くの貴重な体験をすることができました。

はじめの数ヶ月は、相手の言っていることや考えていることが分からず、いつも不安な気持ちでいっぱいでした。学校でも不安な気持ちを打ち明けられるような友達がなかなかできず、苦労をしました。しかし、4、5ヶ月経った頃からだんだん英語が聴き取れるようになり、ホストファミリーともその日の出来事を報告し、笑い合えるようになりました。英語の上達と共に学校生活も楽しくなり、友達の数も増えていきました。

私が交換留学生としてアメリカに滞在中に常に心がけていたことは、感謝の気持ちを忘れないこと、そしていつも笑顔で接することの二つでした。異文化の中で生活するということは決して簡単なことではありません。しかし、それはアメリカのホストファミリーの方にとっても同じことです。言葉もろくに通じない外国からやってきた留学生を、10ヶ月もの間、家族の一員として全くの無償で受け入れてくれるのです。相当な努力と我慢が必要なことでしょう。私が異文化に戸惑っていた頃、少しでも早く現地の生活習慣に慣れるよう、ホストファミリーの方は一生懸命助けてくださいました。

私は当初、悩みや困ったことがあっても、あまりホストファミリーに相談せず、いつも自分で解決しようとしていました。そうすることが、自立すること、留学生として一人前だと考えいました。しかし、この10ヶ月で学んだことは、喜びも悲しみも分かち合ってこそ、本当の家族のような関係が築けるのであって、困ったときには人に頼ることも大事なのだということです。自分が心を開いて接してみれば、アメリカには本当に親切で優しく、とても陽気な人が大勢います。私が何かを伝えようとすると、必ず耳を傾けてくれ、何とか理解しようとしてくれました。

交換留学を通して得たものは、私にとっては英語力の上達よりも、人と人とのつながりの大切さを身を持って経験できたことです。私はこの10ヶ月間、本当に多くの人に助けられて留学生活を全うすることができました。たくさんの苦労を乗り越えて得たこの達成感は、大きな自信となりました。これからこの交換留学プログラムに参加される皆さんも、はじめは苦労の連続かと思います。しかし、自分だけではなく他の交換留学生も皆、同じように苦労しています。苦労の先には、その苦労を乗り越えた人だけが味わえる、有意義な留学生活が待っています。このプログラムを通して一人でも多くの日本の高校生が、アメリカで様々な人と出逢い、本当の意味での国際交流を経験できることを願っています。

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